- 本文
- 黄葉索山野 蒼蒼豈始終 嗟余五八歳 長夜念圓融
- 読み
- 黄葉山野に索く 蒼蒼豈に始終あらんや 嗟、余五八の歳 長夜に圓融を念ふ
- 意味
- 紅葉は冬になればやがて落ち消え去るけれども、蒼蒼たる天涯は果てしなく限りがない。
我が身を顧みればああ既に40歳となりやがては消え去るべき運命である。
されば、今我れこの生涯に於いて4行の頌を観じて、無碍円融ならんことを願う。
- 所見
- お大師さまが中寿を迎えた時のお言葉。
私たちの身体はいつかはなくなってしまうけれど、春来れば新しい命が芽吹くように、すべての存在は、相互に関係しあって循環をしている。
命がそれぞれにあるのではなく、1つの大きな命・大日如来の中で生かされている。
- 出典名
- 中寿感興詩并序(性霊集巻第三)